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AIは事務所を救うのか?

こんにちは、大野事務所の鈴木です。

本日は、生成AIの可能性を垣間見る機会がありましたので、お話させて頂きます。

 

1.助けて!

 

ビジネスや日常生活の様々な場面で、生成AIの存在を認知する機会が増えてきました。OpenAIChatGPTに代表される生成AIですが、MicrosoftCopilotを、GoogleGeminiをリリースしたりと、様々な選択肢が登場し、その生成物による恩恵にあやかったり、あるいは議論の対象となったり、徐々に生活の一部となりつつあります。生成AIについては以前弊所コラムでも取り上げており、その利活用については私たちの間でも時折話題となりますし、弊所でも今春より労務生成AIを導入しているところ、お客様への回答作成の補助、通達等の労務関連資料の検索等を通じて、生成AIの存在をより身近に感じられる今日この頃です。

 

ところで、このコラムは10/31に書き出しています。締め切りまで殆ど時間がなく、アイデアに困窮しており、困りました……。そんなとき、最近業務内で利活用している生成AIの件が頭に浮かび「いっそ代わりに書いてくれないか」とまでは申し上げないものの、何かヒントはないかと思いChatGPTへ下記の指示出しを行いました。

 

「あなたは社会保険労務士事務所の社員です。

 社会保険労務士業務における生成AIの活用と今後の可能性について、3000字程度のコラムを書いてください。」

 

 

2.こちらが生成AIのアウトプットです

 

. 生成AIとは(略)

 

. 社労士業務における生成AIの活用分野

社労士業務は主に、労働法規や社会保険のアドバイス、手続き代行、労務管理など多岐にわたります。生成AIは、これらの分野において次のような形での活用が期待されています。

 

・文書作成や規定のドラフト作成

就業規則や労使協定、労務管理の手引きなど、社労士は多くの書類を作成しますが、これらの文章作成は非常に時間がかかります。生成AIは、基本的な文書のひな形を生成したり、労働基準法や安全衛生法に基づいた標準的な内容を反映したドラフトを提供したりすることで、作業負担を軽減することが可能です。社労士が最終調整を行うことで、精度と効率を両立させた文書作成が実現します。

 

・法令の解説・情報提供の効率化(略)

 

・コンサルティングの質の向上(略)

 

・業務プロセスの自動化と効率化

給与計算や社会保険の加入・喪失手続きなどの事務作業も、生成AIが自動化支援に役立つ分野です。たとえば、特定の条件に基づいたデータ処理や手続きを半自動的に行うことで、時間とコストの削減が期待されます。事務作業が効率化することで、社労士はより高付加価値の業務、たとえば戦略的な労務管理や企業へのコンサルティングに注力できるようになります。

 

. 生成AI導入の課題

生成AIの活用には、多くのメリットがある一方で、いくつかの課題も存在します。

 

・データセキュリティと個人情報保護

社労士業務では、企業や従業員の個人情報を扱う場面が多くあります。生成AIが社労士業務に使用される場合、データの安全管理は非常に重要です。AIに入力したデータがどのように扱われるか、どのように保護されるかを慎重に検討し、セキュリティ対策が求められます。

 

・正確性の担保と責任の所在(略)

・技術的なコストと導入のハードル(略)

 

. 生成AIの将来の可能性(略)

 

. 結論(略)

 

 

3.超優秀なアシスタント

 

2.は所々削除したものの、生成物を殆どそのまま転載しています。概要やメリットデメリット、今後の展望等について網羅的に言及されており「それっぽい」文章が出来上がりました。内容の正確性はさておき、多少の加筆修正によって読み応えのある文章に変貌を遂げることも十分可能でしょう。

 

私たちの仕事において、関与先様から「このような協定書、通知書のフォーマットはありますか?」といったご相談を頂くことがあります。このとき丁度良いフォーマットを持ち合わせていないこともありますが、ゼロイチで自ら作成するのでなく、生成AIでたたき台を作成してから内容を加筆修正する、といった活用方法が考えられます。

 

また「~について注意すべき点があれば教えてください」といったご質問を頂くこともあります。とりわけ重要な事柄に関しては優先してご回答するものの、それ以外の事項について思い至らず言及しそびれてしまうことがあります。そのようなとき、キーワードにさえ言及されれば関連した回答ができますし会話の展開が期待できるところ、網羅的に、広く浅く言及する生成AIと相談業務は、存外親和性があるかもしれません。

 

さながら、超優秀なアシスタントを専属でつけてもらったような感覚です。

 

相談業務のみならず、私たちの仕事は事務的作業がまだまだ大半を占めるところ、Excelやスプレッドシートにおけるマクロ・関数・条件付き書式等の設定、PowerPointによる簡易なプレゼン資料の作成等に、大変役立ちます。例えば以下のような指示出しにより、作業時間の圧縮が期待できます。

 

A1からN500の間に、値が1なら青、値が2なら緑、値が3なら赤に色掛けする条件付き書式を設定してください」

 ⇒視認性の良い管理表を作成する

 

X1に以下の関数を設定してください。A1正社員なら(C1+D1+E1/160*1.25の計算結果を、

 A1アルバイトならF1*1.25の計算結果を、計算結果が0かエラーなら0を反映する」

 ⇒給与計算の理論値を確認するシートを作成する

 

「このシートのデータを次のように作り変えてください。

 処理1A1セルを起点に、右に空白セルを一つ追加し、A1セルと同じデータを入力し、その右に空白セルを追加する。

 処理1が終わったら、空白セルの右にはデータがあるので、そのセルを新たに起点として同じ処理を行う。

 この処理を、右セルにデータがなくなるまで続ける」

 ⇒シートを添付し、シートを加工してもらう

 

このように、自ら検索して調べたり、先輩や同僚に尋ねたりして行っていた事柄の多くを置き換えられる可能性があり、生成AIの活用場面やイメージは着実に膨らんできていると感じられます。

 

労務相談AIの導入にあたってベンダーの代表者の方より、生成AIの利活用についてセミナーを実施して頂いた折、印象的だったのは「80点のものを100点にするには未だ難しいが、0点のものを80点にするには非常に適している」という生成AIの特徴を端的に述べられた場面でした。あらゆる物事も突き詰めれば80点から100点を目指して専門特化していくものの、より多くの方がより早く、まずは80点(一人前にこなせるレベル)を目指すために、積極的に利活用を検討すべきツールであると感じ入ったところです。

 

 

4.AIは事務所を救うのか?

 

さて、私はというと生成AIの利便性に味をしめて「毎週コラムを書いてくれませんか?」と、今度は別の生成AIGemini)に、無茶振りのような指示を出してみました。すると、

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

承知いたしました。コラム作成のお手伝いをさせていただくために、以下の情報を教えていただけますと幸いです。

テーマ: どのようなテーマについて書きたいですか?(例:生成AI、テクノロジー、ビジネス、社会問題など)

ターゲット: どのような読者に向けて書きたいですか?(例:専門家、一般読者、特定の業界の人など)

記事の長さ: 大体どのくらいの長さの記事をご希望ですか?(文字数や時間など)

トーン: 記事の雰囲気はどのようなものにしたいですか?(例:フォーマル、カジュアル、ユーモア、分析的など)

頻度: 毎週どの曜日に記事が欲しいですか?

その他: 特に伝えたいことや、記事に含めたい情報などはありますか?

 

例として、以下のようなご依頼が考えられます。

1: 生成AIをテーマに、毎週金曜日に1000字程度の、一般読者向けの分かりやすい記事を執筆してほしい。

2: ビジネスにおけるデータ分析の活用をテーマに、毎週月曜日に2000字程度の、(略)

 

コラム作成の流れ……

 

(後略)

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

指示出しが曖昧だと全く機能しない印象でしたが、さながらコンサルタントのようにニーズを引き出してくれるようで、壁打ちとしても非常に役立ちそうです。いずれにしても指示の内容から意図を汲みとるという意味では、ユーザーの意図や考え方、方向性のようなものが前提として必要、あるいは対話の中で確立していく必要があります。

 

このあたり、意図や方向性が曖昧だと相手が困惑してしまうという点で、対人コミュニケーション(依頼・質問等)と似通っています。AIに適切に指示を出せるということは、適切に言語化できているとも考えられ、結果的に対人コミュニケーションにおける指示出しも改善されるかもしれません。意図しない結果が出てくるということは、指示出しが不適切(改善の余地がある)と考えられるところ、このあたりも対人コミュニケーションと通ずるものがあります。他方、AIと同じような指示出しでは対人コミュニケーションで支障をきたしますので、適切に切り替えることが肝要です。

 

 

AIは事務所を救ってくれるのかはわかりませんが、随分と私を助けてくれています。

誰もがフリーでアクセスできる人類の叡智の結晶に、皆様も是非積極的に触れてみてください。

 

 

執筆者:鈴木

鈴木 俊輔

鈴木 俊輔 特定社会保険労務士

第3事業部 グループリーダー

秋田県出身。明治大学文学部卒業。
新卒でガス会社に入社し、現場と本店を経験。その中で「人」について考える仕事がしたいと思い至り、人事労務の専門家である社労士を志し、この業界に入りました。

大野事務所に入所し約5年。社労士として研鑽を積む傍ら、副業で再エネ事業、BPO事業を営んでいます。前職や副業で培った経験と、先輩や上司から頂いた金言を大切に、お客様への価値提供と業務改善を常に意識しながら、日々仕事に取り組んでいます。

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