理想のチーム
こんにちは、大野事務所の鈴木です。
本日は、チーム作りについて考える機会がありましたので、お話させて頂きます。
- 1.新庄ハム
最近はあまり熱心にはウォッチできておりませんが、プロ野球観戦は私の趣味の一つです。ここ数年は各球団の「推し」の個人成績に一喜一憂するくらいの楽しみ方でしたが、2022年からは北海道日本ハムファイターズを応援しています。ファイターズでは、2004~2006年に選手として活躍した新庄剛志氏が、2022年から監督として指揮を執るようになりました。2022年、2023年は最下位に落ち込んだものの、2024/9/13時点ではパ・リーグ2位につけています。
今季のファイターズは20代前半~中盤の選手の出場機会が多く、年々試合内容や個人成績が向上していく様は、勝ち負け以前にウォッチしていて非常に心躍るものがあります。また、新庄監督は現役時代から旺盛なファンサービスや派手なパフォーマンスで有名でしたが、監督になってもスタンスは変わらず、近年では選手や球団も巻き込んで、ファンサービスに力を入れている様子が窺えます。昨年は新球場がオープンとなり、私自身、一度は北海道のホームゲームを観戦してみたいなと思う今日この頃です。
2.ユーティリティプレイヤー
さて、ファイターズの特徴として、複数ポジションを守れる選手が多いという点が挙げられます。本来内野手登録の清宮選手は、レフトでの出場もしばしば見受けられます。また、昨年トレードで加入した郡司選手は捕手登録ですが、サードやファーストでの出場機会が大半で、今季はキャッチャーでの出場が殆どありません。両選手とも打撃力に定評のある選手ですが、今季のファイターズは好調な選手が多く各ポジションでの競争が激化しています。そこで選手自身が出場機会を求めて、という側面に加え、首脳陣も両選手の打撃力を活かしたいがため、別のポジションで調子の落ちた選手がいればそこでの起用を睨んでの育成と、両面からの思惑が窺えます。これらの事情から、選手・首脳陣共に、複数ポジションを守るという方針には、双方が納得して取り組んでいるようです。
また、ポジションだけでなく打順の固定も殆どありません。最近でこそ3番・4番を固定する日が若干多いものの、それ以外の打順は殆ど日替わりの様相です。その他、大胆な選手起用だけでなく、オープン戦では選手に監督を任せたり、シーズン中にコーチを異動させたりと、チーム内では様々な施策が講じられています。外野からは賛否両論あろうかと思いますが、個人的に感銘を受けているのは、新庄監督のチームに対する様々な仕掛けは概ね肯定的に捉えられており、選手間に意識変革がもたらされているところです。
「楽しむ」というシンプルなメッセージのもと、選手が程よいプレッシャーの中で楽しんでプレーしているのに加え、各選手が「チームにおいて自分がどのように動くべきか」能動的に考えてプレーしている様子が窺えるのも、今季のファイターズの魅力の一つです。
3.チームと、チームの中の「私」
レイエス選手は、今季からファイターズに加わった外国人選手です。春先は2軍落ちも経験したものの、夏頃から1軍に再昇格し、先日は球団新記録となる25試合連続安打を達成しました。いわゆる助っ人の外国人選手は成績が下向けば契約終了、上向いても年俸で折り合えなければ退団となることも珍しくありませんが、折に触れて、来季もファイターズでのプレーを熱望するコメントを出しています(リップサービスかもしれませんが…)。
レイエス選手に限らず、選手からのコメントでよく聞かれるのが「このチームは非常に良いチームである」「このチームでプレーしたい」というものです。すなわちチームと、チームの中で活躍する=貢献する自分に誇りをもっている状態と考えられるところ、これらは古代ローマ帝国が傭兵の重用により弱体化した話と、対極にあるものです。チームへの貢献意欲を失ったメンバーは最低限の働きしかしませんが、メンバーがチームへの貢献意欲を高めれば、凄まじい量のエネルギーを発出することになります。
勿論、調子が上向いているチームだからこそ、メンバーがそのように感じるという側面もあるかもしれません。卵が先か、鶏が先か。どちらにせよ、双方のたゆまぬ努力で、今季のファイターズの風土が醸成されたといえるでしょう。
4.理想のチーム
3年に及ぶ新庄監督と選手たちとのチーム作りは、非常に見応えがあるものでした。プロ野球は成績次第で契約内容が大きく左右される世界で、球団-選手の双方がそれを理解していますから、会社-従業員のような全く異なる契約関係とは完全に同視はできないものの、チームとメンバーという関係に照らしてみれば、私たちの仕事においても気付きを与えてくれるものです。
ファイターズはリーグ優勝・日本シリーズ制覇という目標を掲げていますが、同じ野球でも、例えば高校野球では9人や10人ギリギリで、何とか地区予選出場を叶えるといった学校もあります。これらのチームも目標を1回戦突破・ベスト8進出に変えて、協働することでしょう。共通しているのは「野球をしたい」「試合に出たい」「勝ちたい」という想いです。何かを志向することがエネルギー源であり、察するにメンバー(人)が足りないのか、ポジション(仕事)が足りないのかは、メンバーの充実感とはあまり相関しないのかもしれません。
ビジネスではスケールの大小こそあれ、人と仕事を常に調整するような場面があるかと思います。さながら両者をバランスよく積み上げ、あるいは維持する秤のゲームのようにも見て取れますが、いずれかに偏ると一気に瓦解します。人余り=仕事不足でも、仕事余り=人不足でも、人か仕事のいずれかを調整してバランスを保つのがベストですが、バランスが偏っても直ちに調整を図るのは難しかったりもします。そんなとき、レイエス選手のように「このチームのために頑張りたい」と言ってくれる貴重なメンバーがいれば、一時的に偏りを持ち堪えられるかもしれません。そんなメンバーが現れるような組織風土の醸成に力を入れることは、一朝一夕には成し得ないものですが非常に重要なことと考えます。
本日は新庄ハムの躍動と、そこからの気付きについてご紹介させて頂きました。
頑張れ、ファイターズ!
執筆者:鈴木
鈴木 俊輔 特定社会保険労務士
第3事業部 グループリーダー
秋田県出身。明治大学文学部卒業。
新卒でガス会社に入社し、現場と本店を経験。その中で「人」について考える仕事がしたいと思い至り、人事労務の専門家である社労士を志し、この業界に入りました。
大野事務所に入所し約5年。社労士として研鑽を積む傍ら、副業で再エネ事業、BPO事業を営んでいます。前職や副業で培った経験と、先輩や上司から頂いた金言を大切に、お客様への価値提供と業務改善を常に意識しながら、日々仕事に取り組んでいます。
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