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副業者の就労に関する調査

こんにちは、大野事務所の土岐です。

 

今回は、独立行政法人労働政策研究・研修機構(以下、JILPT)の「副業者の就労に関する調査(以下、調査)」のご紹介です。

 

厚生労働省は20209月に副業・兼業に関するガイドラインを改定し、副業・兼業に関する労働時間管理や健康確保等に関するルールを明確にするなどの取り組みを行ってきました。

今回の調査は、副業・兼業に関する行政側の取り組みから一定期間が経過したことから、副業を行う割合や、労働者が実施する副業の形態、業種、副業を行う理由等について把握し、副業者の就労状況を確認するためのアンケート調査を厚生労働省の要請を受けてJIPTが実施し、取り纏めたものです。

 

なお、調査方法は調査会社の登録モニターを対象としたものとされており、その対象は1864歳の188,980人の男女で、このうち、「仕事は2つ以上(副業をしている)」と回答した11,358人を「副業者」として集計しているとのことです。

 

調査の冒頭では「調査結果のポイント」がまとめられており、そのポイントおよび調査結果の詳細はこちらをご覧いただきたいと思いますが、以下に筆者が気になった点をいくつか紹介していきます。

 

1>副業者の割合

 

仕事の数を尋ねたところ、本業のみ(仕事は1つだけ)と回答したのは94%となっている一方、副業者の割合は6%と、割合で見てみると副業者は少ないようです。

【資料出所:JILPT「副業者の就労に関する調査」(以下図表も同じ)】 

 

2>副業者の状況

 

本業の就業形態を見ると、「非正社員」が41%で最も高い結果となっています。ただし、本業が「正社員」の割合も38.1%と、非正社員の割合とそれほど大差ない点は注目すべきといえるでしょう。

 

また、本業の就業形態と副業の就業形態の組み合わせタイプ別の割合は、次の表の通りとなっており、本業が非正社員が多数となっていますが、本業が正社員の割合も一定数見受けられます。

 

 

その他、副業する理由(複数回答)については、「収入を増やしたいから」、「1つの仕事だけでは収入が少なくて、生活自体ができないから」の回答割合がそれぞれ54.5%、38.2%となっており、主な理由は収入面からという結果といえます。

 

一方で、「自分が活躍できる場を広げたいから」(18.7%)、「様々な分野の人とつながりができるから」(13.2%)、「仕事で必要な能力を活用・向上させるため」(11.0%)といった回答が一定割合あることは、キャリア形成や自己実現といった点を意識した結果と思われます。

この点、調査の中では、「副業の動機には経済的状況による違いが見てとれる。」、「副業をするもっとも強い動機は金銭的なもので、そのうえで自己実現や時間、それに人とのつながりも重要視されている様子がうかがえる。」とされています。まずは収入面を少しでも充実させ、その次に自己実現というのは個人的には納得です。

 

 

3>本業のみの者の状況

 

副業を行っていない人に対して、「副業したいと思う」と回答した人にその理由を尋ねると(複数回答)、「収入を増やしたいから」が70.2%と最も高い結果となっています。

この点、副業・兼業を認めるに際して筆者の関与先の複数の皆様とお話をしている中で、会社側が求めるものとして挙げられることが多い、「仕事で必要な能力を活用・向上させるため」は正社員で9.4%と、割合としては低い結果となったことは、副業したいと思う社員側と会社側の思いに、ややズレがあるのかもしれません。

 

なお、以下の表の通り、「1つの仕事だけでは収入が少なくて、生活が苦しいから」の回答が正社員では40.4%、全体では42.3%と、上記<2>の「副業をするもっとも強い動機は金銭的なもの」と同様に、切実な状況にある方が一定数いらっしゃるのだと思われます。

 

 

他方、「副業したいとは思わないと」回答した人のその理由は、「1つの仕事だけで十分な収入があり、生活が苦しくないから」、「本業が忙しくて時間にゆとりがないから」「仕事をしていない時間が大切だから」の順となっています。

この調査結果の受け止め方は読み手によって異なると思いますが、皆様の会社において、あるいはご自身が副業・兼業について考える際の一つの参考になるかもしれません。

 

 

以上、既に副業をしている人、これから副業をしたいと思う人、したいとは思わない人のそれぞれに様々な考えがあるのでしょうが、各々の考え方を尊重し、本業と副業、そしてプライベートのそれぞれの時間を充実させることができればと筆者は思います。

 

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

 

<参考URL

■独立行政法人 「副業者の就労に関する調査」

https://www.jil.go.jp/press/documents/20230519.pdf

 

執筆者:土岐

土岐 紀文

土岐 紀文 特定社会保険労務士

第3事業部 部長

23歳のときに地元千葉の社労士事務所にて社労士業務の基礎を学び、その後大野事務所に入所しまして10数年になります。

現在はアドバイザリー業務を軸に、手続きおよび給与計算業務にも従事しています。お客様のご相談には法令等の解釈を踏まえたうえで、お客様それぞれに合った適切な運用ができるようなアドバイスを常に心がけております。

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