TOP大野事務所コラム新しい育児休業制度と改正法施行日との関係

新しい育児休業制度と改正法施行日との関係

こんにちは。大野事務所の深田です。

 

今回のコラムでも引き続き、改正育児・介護休業法を取り上げたいと思います。

 

4月施行分の改正に関係する規程の改定や労使協定の再締結などの対応については、大詰めを迎えていらっしゃることと思います。次の段階としては10月施行分への対応ということで、この改正(育児休業の分割取得、出生時育児休業(産後パパ育休)の創設、1歳到達日後の休業開始日の柔軟化)をもって育児休業制度が大きく変わることとなります。

 

今回は、改正法に基づく新しい育児休業制度と施行日(令和4101日)との関係について見ていきます。

 

まず、産後パパ育休につきましては新設される制度ですので、「出生時育児休業制度に係る規定は令和4101日から施行されますので、法令上、労働者は令和4101日より前に、事業主に対して出生時育児休業の申出をすることはできません。」(令和3年改正育児・介護休業法に関するQA(令和31130日時点):Q5-5)とされています。一方で、「事業主が、法を上回る措置として、令和4101日以降の日から開始する出生時育児休業の申出を令和4101日より前に受け、同年101日以降、出生時育児休業を取得させることは差し支えません。」(同)ともされています。

 

この産後パパ育休に関しましては、法改正により廃止されるいわゆるパパ休暇との関係で経過措置が設けられています(改正法附則第4条)。これにより、令和4101日前に開始したパパ休暇については、改正後の法第5条第2項(育児休業の取得可能回数)および第9条の22項(出生時育児休業の取得可能回数・日数等)の規定の適用にあたっては産後パパ育休とみなすこととされています。経過措置の具体例につきましては、前掲Q&Aで示されている以下の図をご参照ください。

 

 

 

次に、育児休業の分割取得や1歳到達日後の休業開始日の柔軟化につきましては、産後パパ育休と同じように、これらに係る申出ができるのは施行日以降ということになりますが、施行日以降に開始した育児休業のみが対象となるわけではなく、「施行日以降に要件を満たしていれば申出ができる」と考えていただくのが分かりやすいかと思います(「要件を満たしていれば」というのは、育児休業の分割取得の場合であれば、休業を1回しか取得しておらず子が1歳に達してもいない、ということです)。この点につきましては、以下の図をご参照ください。

 

 

10月施行分に係る規程の改定により、産後パパ育休の創設があることで規程のボリュームが増えることはもとより、その他の改正事項に対応する部分を反映させることで規程が一層難読となる感は否めません(今回のコラムで確認した点は、規定として落とし込むものではありません)。その意味でも、早い段階から準備を進めておきたいですね。

 

執筆者:深田

深田 俊彦

深田 俊彦 特定社会保険労務士

労務相談室長 管理事業部長/パートナー社員

社会人1年目のときの上司が元労働基準監督官だったことが、労働分野へ関心を寄せるきっかけとなりました。
日頃からスピード感を持って分かりやすくまとめ、分かりやすく伝えることを心掛けています。また、母の「人間は物事が調子良く進んでいるときに感謝の気持ちを忘れがちである」という言葉を、日常生活でも仕事の上でも大切にしています。

その他のコラム

過去のニュース

ニュースリリース

2024.08.22 ニュース
【正規職員・契約職員・パート職員募集】リクルート情報
2024.11.20 大野事務所コラム
介護についての法改正動向
2024.11.14 ニュース
『月刊不動産』に寄稿しました【未払い賃金請求権と時効期間】
2024.11.22 これまでの情報配信メール
データでみる70歳以上の定年・継続雇用制度の導入効果と工夫、大野事務所モデル規程・協定一部改定のお知らせ
2024.11.12 これまでの情報配信メール
過重労働解消キャンペーン、2024年12月からの企業型DCおよびiDeCoの変更点について
2024.11.13 大野事務所コラム
PRIDE指標をご存知ですか
2024.11.06 大野事務所コラム
AIは事務所を救うのか?
2024.11.05 ニュース
『workforce Biz』に寄稿しました【年次有給休暇の付与や取得等に関する基本的なルールと留意点(中編)】
2024.10.31 これまでの情報配信メール
賃金のデジタル払い、令和7年3月31日高年齢者雇用確保措置における経過措置期間の終了について
2024.10.30 大野事務所コラム
通勤災害における通勤とは③
2024.10.23 大野事務所コラム
在籍出向者を受け入れる際の労働条件の明示は出向元・出向先のいずれが行うのか?
2024.10.23 ニュース
『月刊不動産』に寄稿しました【職場や外出先への移動時間は労働時間に該当するか】
2024.10.23 これまでの情報配信メール
令和6年年末調整における定額減税に関する事務・簡易な扶養控除等申告書について
2024.10.16 大野事務所コラム
本当に「かぶ」は抜けるのか―「人と人との関係性」から人事労務を考える㊱
2024.10.11 これまでの情報配信メール
令和6年版労働経済の分析(労働経済白書)について
2024.10.09 大野事務所コラム
労働者死傷病報告等の電子申請義務化について
2024.10.04 ニュース
『workforce Biz』に寄稿しました【年次有給休暇の付与や取得等に関する基本的なルールと留意点(前編)】
2024.10.02 これまでの情報配信メール
労働者死傷病報告の報告事項改正及び電子申請義務化について
2024.10.02 大野事務所コラム
女性活躍推進法の改正動向
2024.09.26 ニュース
『月刊不動産』に寄稿しました【社会保険の適用が拡大されます】
2024.09.25 大野事務所コラム
社会保険の同月得喪と2以上勤務を考える
2024.09.18 大野事務所コラム
理想のチーム
2024.09.11 大野事務所コラム
通勤災害における通勤とは②
2024.09.11 これまでの情報配信メール
令和6年度地域別最低賃金額の改定状況について・大規模地震の発生に伴う帰宅困難者等対策のガイドラインについて
2024.09.04 大野事務所コラム
フレックスタイム制適用時における年次有給休暇の時間単位取得と子の看護休暇・介護休暇の時間単位取得
2024.08.28 大野事務所コラム
やっぱり損はしたくない!―「人と人との関係性」から人事労務を考える㉟
2024.08.31 これまでの情報配信メール
「健康保険資格情報のお知らせ及び加入者情報」の送付、マイナンバーカードの健康保険証利用について
2024.08.21 これまでの情報配信メール
雇用保険基本手当日額および高年齢雇用継続給付等の支給限度額変更・令和7年4月1日以降の高年齢雇用継続給付の段階的縮小について
2024.08.21 大野事務所コラム
ライフプラン手当のDC掛金部分を欠勤控除の計算基礎に含めてよいのか?
2024.08.15 ニュース
『月刊不動産』に寄稿しました【減給の制裁における労働基準法の制限】
2024.08.10 これまでの情報配信メール
雇用の分野における障害者の差別禁止・合理的配慮の提供義務に係る相談等実績について等
2024.08.07 大野事務所コラム
1か月単位の変形労働時間制における時間外労働の清算
2024.08.02 ニュース
『workforce Biz』に寄稿しました【管理監督者の適正性】
2024.07.31 大野事務所コラム
健康情報取扱規程の作成は義務⁈②
2024.07.24 大野事務所コラム
ナレッジは共有してこそ価値がある
2024.08.01 これまでの情報配信メール
2024年 企業の「人材確保・退職代行」に関するアンケート調査 カスタマーハラスメント対策企業マニュアルと事例集
2024.07.19 これまでの情報配信メール
仕事と介護の両立支援に向けた経営者向けガイドライン
2024.07.17 大野事務所コラム
通勤災害における通勤とは①
2024.07.16 ニュース
『月刊不動産』に寄稿しました【振替休日と割増賃金】
2024.07.10 大野事務所コラム
これまでの(兼務)出向に関するコラムのご紹介
2024.07.08 ニュース
『workforce Biz』に寄稿しました【歩合給に対しても割増賃金は必要か?】
HOME
事務所の特徴ABOUT US
業務内容BUSINESS
事務所紹介OFFICE
報酬基準PLAN
DOWNLOAD
CONTACT
pagetop