TOP大野事務所コラム育児・介護休業法の改正に係る省令案

育児・介護休業法の改正に係る省令案

こんにちは。大野事務所の深田です。

 

まだ諮問段階ではありますが、育児・介護休業法の改正に係る省令案と告示案が明らかになりましたので、省令案の主要な点を整理したいと思います。

 

1.妊娠または出産等の事実についての申出があった場合における措置(令和441日施行)

 

労働者が事業主に対して、当該労働者またはその配偶者が妊娠し、または出産したことなどの事実を申し出たときは、事業主は当該労働者に対して「育児休業に関する制度その他の厚生労働省令で定める事項を知らせる措置」を講じなければならないこととされました。その知らせる事項が、省令案において次のとおりとなっています。

①育児休業に関する制度

②育児休業申出の申出先

③雇用保険の育児休業給付に関すること

④労働者が育児休業期間について負担すべき社会保険料の取扱い

 

また、「育児休業に関する制度等の取得意向の確認」も行うこととされており、以上のことを事業主が行う方法は、省令案において次のいずれかとなっています。

①面談による方法

②書面を交付する方法

③ファクシミリを利用して送信する方法(労働者が希望する場合に限る)

④電子メール等の送信の方法(労働者が希望する場合に限る)

 

2.雇用環境の整備に関する措置(令和441日施行)

 

事業主は、育児休業申出等が円滑に行われるようにするため、次のいずれかの措置を講じなければならないこととされました。

(1)雇用する労働者に対する育児休業に係る研修の実施

(2)育児休業に関する相談体制の整備

(3)その他厚生労働省令で定める育児休業に係る雇用環境の整備に関する措置

 

以上のうち(3)については、省令案において次のとおりとなっています。

①雇用する労働者の育児休業の取得に関する事例の収集および雇用する労働者に対する当該事例の提供

②雇用する労働者に対する育児休業に関する制度および育児休業の取得の促進に関する方針の周知

 

3.労使協定の締結による出生時育児休業申出の適用除外(令和4101日施行予定)

 

労使協定を締結することにより出生時育児休業申出の適用除外とできる事由が、「入社1年未満の者」のほか、省令案において次のとおりとなっています。

①出生時育児休業の申出の日から8週間以内に雇用関係が終了することが明らかな者

1週間の所定労働日数が2日以下の者

 

4.出生時育児休業の申出の期限(令和4101日施行予定)

 

出生時育児休業の申出の期限は、通常の育児休業の申出期限である「1か月前」よりも短い「2週間前」が原則となっています。ただし、一定の事項を労使協定で定めている場合には、労使協定で定めた期限(2週間超1か月前)を申出の期限とすることができることとされており、労使協定で定める事項は省令案において次のとおりとなっています。

(1)次に掲げる措置のうち、2以上の措置を講ずること。

・雇用する労働者に対する育児休業に係る研修の実施

・育児休業に関する相談体制の整備

・雇用する労働者の育児休業の取得に関する事例の収集および雇用する労働者に対する当該事例の提供

・雇用する労働者に対する育児休業に関する制度および育児休業の取得の促進に関する方針の周知

・育児休業申出をした労働者の育児休業の取得が円滑に行われるようにするための業務の配分または人員の配置に係る必要な措置

(2)育児休業の取得に関する定量的な目標を設定し、育児休業の取得の促進に関する方針を周知すること。

(3)育児休業申出に係る当該労働者の意向を確認するための措置を講じた上で、その意向を把握するための取組を行うこと。

 

5.出生時育児休業期間における就業

 

出生時育児休業制度では、労使協定を締結している場合に限り、労働者の意向を踏まえて事業主の必要に応じ事前に調整し、労働者と合意した範囲内で休業期間中の就業を認めることとされました。この取扱いに関する詳細も省令案によって明らかになりました(以下の図表をご参照ください)。

 

 

 

執筆者:深田

深田 俊彦

深田 俊彦 特定社会保険労務士

労務相談室長 管理事業部長/パートナー社員

社会人1年目のときの上司が元労働基準監督官だったことが、労働分野へ関心を寄せるきっかけとなりました。
日頃からスピード感を持って分かりやすくまとめ、分かりやすく伝えることを心掛けています。また、母の「人間は物事が調子良く進んでいるときに感謝の気持ちを忘れがちである」という言葉を、日常生活でも仕事の上でも大切にしています。

その他のコラム

過去のニュース

ニュースリリース

2024.12.02 ニュース
【急募!正規職員・契約職員・パート職員】リクルート情報
2025.03.26 大野事務所コラム
労働時間制度等に関する実態調査結果(速報値)
2025.03.24 ニュース
『労政時報』に寄稿しました【令和7年度施行 労働関係・社会保険改正のチェックポイント(下・社会保険関係編)】
2025.03.20 これまでの情報配信メール
一般事業主行動計画の改正について 、くるみん認定・プラチナくるみん認定の認定基準改正について
2025.03.19 ニュース
『月刊不動産』に寄稿しました【フリーランス新法の概要(後編)】
2025.03.18 ニュース
2025春季大野事務所定例セミナーを開催いたしました
2025.03.19 大野事務所コラム
日本法の遵守=「ビジネスと人権」に対応?―「人と人との関係性」から人事労務を考える㊴
2025.03.19 これまでの情報配信メール
協会けんぽの健康保険料率および介護保険料率、雇用保険料率・労災保険率について
2025.03.10 ニュース
『労政時報』に寄稿しました【令和7年度施行 労働関係・社会保険改正のチェックポイント(上・労働関係編)】
2025.03.10 ニュース
『workforce Biz』に寄稿しました【フレックスタイム制の導入のポイントと運用上の留意点(前編)】
2025.03.12 大野事務所コラム
私傷病休職をどのように規定すべきか
2025.03.05 大野事務所コラム
育児休業中に出向(出向解除)となった場合の育児休業給付金の取り扱い
2025.03.19 これまでの情報配信メール
育児時短就業給付金について・育児・介護と仕事の両立のための従業員研修特設ページについて
2025.02.26 大野事務所コラム
降給に関する規定整備を考える
2025.02.19 ニュース
『月刊不動産』に寄稿しました【フリーランス新法の概要(前編)】
2025.02.12 大野事務所コラム
新入社員歓迎会の帰宅途中の災害
2025.02.21 これまでの情報配信メール
出生後休業支援給付金の創設について
2025.02.06 これまでの情報配信メール
東京都のカスタマー・ハラスメント防止条例について・令和7年4月1日以降の高年齢雇用継続給付の支給率変更について
2025.02.05 大野事務所コラム
労働基準関係法制研究会の報告書が公表されました
2025.01.29 大野事務所コラム
「ビジネスと人権」とは周りに思いを馳せること―「人と人との関係性」から人事労務を考える㊳
2025.01.24 これまでの情報配信メール
令和7年度の任意継続被保険者の標準報酬月額の上限について・SNS等を通じて直接労働者を募集する際の注意点
2025.01.22 大野事務所コラム
マイナポータル上での離職票交付サービス開始について
2025.01.16 ニュース
『月刊不動産』に寄稿しました【介護と両立できる働き方とは】
2025.01.16 これまでの情報配信メール
マイナポータルにおける離職票直接送付サービス開始について
2025.01.15 大野事務所コラム
雇用保険法の改正
2025.01.14 ニュース
『workforce Biz』に寄稿しました【労働基準監督署における定期監督等の実施結果について】
2025.01.08 大野事務所コラム
企業による奨学金返還支援制度を考える
2024.12.25 大野事務所コラム
来年はもっと
2024.12.20 ニュース
書籍を刊行しました
2024.12.20 ニュース
『月刊不動産』に寄稿しました【労働条件の不利益変更】
2024.12.20 ニュース
年末年始休業のお知らせ
2024.12.18 大野事務所コラム
【通勤災害】通勤経路上にないガソリンスタンドに向かう際の被災
2024.12.11 大野事務所コラム
【賃金のデジタル払いの今と今後の広がりは?】
2024.12.09 ニュース
『workforce Biz』に寄稿しました【年次有給休暇の付与や取得等に関する基本的なルールと留意点(後編)】
2024.12.04 大野事務所コラム
X.Y.Z―「人と人との関係性」から人事労務を考える㊲
2025.01.08 これまでの情報配信メール
令和6年度年末年始無災害運動・高年齢労働者の安全衛生対策について
2024.11.30 これまでの情報配信メール
令和6年12月2日以降は健康保険証が発行されなくなります・養育期間標準報酬月額特例申出書の添付書類の省略について
2024.11.27 大野事務所コラム
産前産後休業期間中の保険料免除制度は実に厄介
2024.11.20 大野事務所コラム
介護についての法改正動向
2024.11.14 ニュース
『月刊不動産』に寄稿しました【未払い賃金請求権と時効期間】
2024.11.22 これまでの情報配信メール
データでみる70歳以上の定年・継続雇用制度の導入効果と工夫、大野事務所モデル規程・協定一部改定のお知らせ
HOME
事務所の特徴ABOUT US
業務内容BUSINESS
事務所紹介OFFICE
報酬基準PLAN
DOWNLOAD
CONTACT
pagetop