手続き業務がスムーズに
こんにちは、大野事務所の土岐です。
例年6月~7月は労働保険の年度更新業務や社会保険の算定基礎届の届出業務、さらには賞与支給月となる会社様では賞与計算業務が立て続けにやってくるため、会社で当該業務を担当されている方や社労士事務所の皆様は忙しい日々だったことと思います。本コラム掲載時点では7月も間もなく終わる頃ですので、概ね一区切りついた方が多くいらっしゃるのではないでしょうか。
さて、繁忙期を終えた今に思うところがあります。それは、今年は昨年に比べて、特に算定基礎届の届出業務の負担が減ったと感じたことです。理由の一つには、昨年は新型コロナの影響による休業が絡んだ場合の算定方法に注意を要することがあった点が挙げられますが、「算定基礎届総括表(以下、総括表)」が廃止となった点が大きいのではないかと思っています。
「算定基礎届総括表」といいますのは、実務を担当された経験のある方はよくご存じかと思いますが、会社様の事業所数などの情報から、社会保険の被保険者数や被保険者となっていない方の雇用区分・年齢別の状況、その他会社で支給している各種手当の項目名および賞与の支払状況等を記載する帳票です。
弊所の基幹業務システムには総括表に記載するためのある程度の情報は整理されていますので一定の負担軽減にはなるのですが、それでも全てをカバーできるものではなく、どうしても会社様への確認を要する点がいくつかあり、これらを確認のうえ届出書類一式としてまとめる必要がありました。この取りまとめには一定の時間を要するところでして、なかなか大変でした(担当件数が多ければ尚更です)。
もちろん、健保組合や年金事務所の担当者の方々が当該業務の処理にあたって必要となる情報であることから届出を求められている点は重々承知しておりましたが、それでも総括表の作成に一定時間を投入していた状況には、妙な気持ちになったことも正直あります。
このような状況だったのですが、デジタルガバメント実行計画(令和元年12月20日閣議決定)等により、「国民の利便性の向上につながる行政手続きについては優先的に、オンライン化、添付書類の省略を図る必要がある」とされ、これを受けた通達により、本年4月1日より、総括表は廃止となりました。手続きを行う側の視点からは、まさに「事務負担が軽減され利便性は向上した」といえるでしょう。(なお、合わせて賞与支払届総括表も廃止され、賞与不支給の場合には「賞与不支給報告書」を届出ることとされています)。
その他にも昨年12月(労基法関係では本年4月)より、届出書類への押印が原則廃止となったことも手続きがスムーズになったことに大きく影響していると思います。弊所では以前から電子申請による申請が可能な手続きに関しては基本的に電子申請を活用することとしていましたが、それでも、例えば社会保険における各訂正手続きなどの一定の手続きについては、書面でしか手続きができないものがあるのです。
これらの書面による届出に際しては、これまで「書類作成⇒会社様の捺印⇒各役所への届出」に一定の作業工数がかかっていたところ、押印廃止により届出までの工数が圧縮され、書類のやり取り(郵送代等)の負担が軽減したことは皆様も実感されていることでしょう。
ただ、手続き時の負担が軽減されるのは手続きを行う側の視点からは喜ばしいことですが、一方で、届出内容の正確性はこれまでもこれからも当然に求められるところです。上記の総括表に関して言えば、作成を進める中で届出内容におかしな点があるといった気付きを得たことも私の過去の経験からはありましたので、届出内容の確認には、より一層の注意をもって対応している次第です。
日頃の業務の雑感となりましたが、本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
執筆者:土岐
土岐 紀文 特定社会保険労務士
第3事業部 部長
23歳のときに地元千葉の社労士事務所にて社労士業務の基礎を学び、その後大野事務所に入所しまして10数年になります。
現在はアドバイザリー業務を軸に、手続きおよび給与計算業務にも従事しています。お客様のご相談には法令等の解釈を踏まえたうえで、お客様それぞれに合った適切な運用ができるようなアドバイスを常に心がけております。
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