法改正情報(第201回通常国会)
法改正の動向についてお知らせします。
今期(第201回)の通常国会では、「労働基準法の一部を改正する法律案」と「雇用保険法等の一部を改正する法律案」が提出され、
可決・成立しました。
改正事項は以下のとおりです。
労働基準法の改正
【改正法】 | 【主な改正事項】 | 【施行期日】 |
労働基準法 | ■労働者名簿等の保存期間の延長 現行の3年から5年に延長する。 |
令和2年4月1日 |
■付加金の請求可能期間の延長 裁判所が付加金の支払いを命じる場合において、その請求可能期間を現行の2年から5年に延長する。 |
||
■賃金請求権の消滅時効期間の見直し等 賃金請求権の消滅時効期間を現行の2年から5年に延長する等(退職手当は現行において既に5年)。 |
雇用保険法等の改正
【改正法】 | 【主な改正事項】 | 【施行期日】 |
雇用保険法 | ■目的の改正 労働者が子を養育するための休業をした場合に必要な給付を行うことにより、労働者の生活及び雇用の安定を図ることを雇用保険の目的として追加する。 |
令和2年4月1日
|
■育児休業給付の新しい給付の体系への位置付け 失業等給付における雇用継続給付の一つである育児休業給付を、失業等給付とは切り離した給付として位置付ける。 |
||
■高年齢被保険者の特例 次に掲げる要件のいずれにも該当する者が、厚生労働省令で定めるところにより、 厚生労働大臣に申し出た場合には、高年齢被保険者となることができるものとする。 (1)一の事業主における1週間の所定労働時間が20時間未満であること。 (2)二以上の事業主の適用事業に雇用される65歳以上の者であること。 (3)二の事業主の適用事業(申出を行う労働者の1週間の所定労働時間が厚生労働省令で 定める時間数(※5時間とする予定)以上であるものに限る。)における1週間の所定 労働時間の合計が20時間以上であること。 あわせて、労働者が上記申出をしたことを理由とした事業主による不利益取扱いを禁じる。 |
令和4年1月1日 | |
■被保険者期間の計算方法の改正 被保険者期間が12箇月(特定理由離職者及び特定受給資格者にあっては6箇月)に満たない場合は、賃金の支払の基礎となった日数が11日以上であるもの又は賃金の支払の基礎となった時間が 80時間以上であるものを1箇月として計算するものとする。 |
令和2年8月1日 | |
■高年齢雇用継続給付の改正 高年齢雇用継続基本給付金の額は、各支給対象月に支払われた賃金の額に10/100(当該賃金の額が、みなし賃金日額に30を乗じて得た額の64/100に相当する額以上であるときは、みなし賃金日額に30を乗じて得た額に対する当該賃金の額の割合が逓増する程度に応じ、10/100から一定の割合で逓減するように厚生労働省令で定める率)を乗じて得た額とする。 また、高年齢再就職給付金の額は、上記と同様の方法により算定して得た額とする。 |
令和7年4月1日 | |
労働保険料徴収法 | ■労災保険率の算定方法の改正 事業主が同一人でない二以上の事業に使用される労働者(以下「複数事業労働者」という。)に対する新たな保険給付を労災保険法において創設することに伴い、複数事業労働者の場合における労災保険率の算定方法について規定する。 |
公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日。 |
■雇用保険率の改正 労働者負担、事業主負担の順で以下のとおり(前年度からの変更なし)。 一般の事業 : 3/1,000 、6/1,000 農林水産・清酒製造の事業 : 4/1,000 、7/1,000 建設の事業 : 4/1,000 、8/1,000 |
令和2年4月1日 | |
高年齢者雇用安定法 | ■高年齢者就業確保措置 定年(65歳以上70歳未満のものに限る。以下同じ。)の定めをしている事業主等は、次に掲げる措置のいずれかを講ずることにより、現に雇用している高年齢者等の65歳から70歳までの安定した雇用を確保するよう努めなければならないものとする。 (1)当該定年の引上げ (2)65歳以上継続雇用制度(現に雇用している高年齢者等が希望するときは、当該高年齢 者をその定年後等に引き続いて雇用する制度をいう。) (3)当該定年の定めの廃止 ただし、当該事業主が、所定の創業支援等措置(労働者の過半数を代表する者等の同 意を厚生労働省令で定めるところにより得た上で導入されるもの)を講ずることによ り、当該高年齢者の65歳から70歳までの安定した就業の機会を確保する場合にはこの 限りでない。 |
令和3年4月1日 |
労働施策総合推進法 | ■中途採用に関する情報の公表を促進するための措置 常時雇用する労働者の数が300人を超える事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、雇い入れた通常の労働者等に占める中途採用により雇い入れられた者の割合を定期的に公表しなければならないものとする。 |
令和3年4月1日 |
労災保険法 | ■目的の改正 「複数事業労働者の複数事業の業務を要因とする事由に対して迅速かつ公正な保護をするため、必要な保険給付を行い、あわせて、複数事業労働者の複数事業の業務を要因とする事由により負傷し、又は疾病にかかった労働者の社会復帰の促進、当該労働者及びその遺族の援護、労働者の安全及び衛生の確保等を図り、もって労働者の福祉の増進に寄与すること」を、労働者災害補償保険の目的として追加する。 |
公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日。 |
■複数事業労働者に対する新たな保険給付の創設 業務災害に関する保険給付及び通勤災害に関する保険給付と並び、複数事業労働者の複数事業の業務を要因とした負傷、疾病、障害又は死亡に関する保険給付を創設する。 |
||
■給付基礎日額の算定方法の特例 複数事業労働者の業務上の事由、複数事業労働者の複数事業の業務を要因とした事由又は通勤による負傷、疾病、障害又は死亡により保険給付を行う場合は、当該複数事業労働者を使用する事業ごとに算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額を基礎として、厚生労働省令で定めるところによって政府が算定する額を給付基礎日額とする。 |
最新の法改正情報はこちらよりご確認ください。
過去のニュース
ニュースリリース
- 2024.12.02 ニュース
- 【急募!正規職員・契約職員・パート職員】リクルート情報
- 2024.12.04 大野事務所コラム
- X.Y.Z―「人と人との関係性」から人事労務を考える㊲
- 2024.11.30 これまでの情報配信メール
- 令和6年12月2日以降は健康保険証が発行されなくなります・養育期間標準報酬月額特例申出書の添付書類の省略について
- 2024.11.27 大野事務所コラム
- 産前産後休業期間中の保険料免除制度は実に厄介
- 2024.11.20 大野事務所コラム
- 介護についての法改正動向
- 2024.11.14 ニュース
- 『月刊不動産』に寄稿しました【未払い賃金請求権と時効期間】
- 2024.11.22 これまでの情報配信メール
- データでみる70歳以上の定年・継続雇用制度の導入効果と工夫、大野事務所モデル規程・協定一部改定のお知らせ
- 2024.11.12 これまでの情報配信メール
- 過重労働解消キャンペーン、2024年12月からの企業型DCおよびiDeCoの変更点について
- 2024.11.13 大野事務所コラム
- PRIDE指標をご存知ですか
- 2024.11.06 大野事務所コラム
- AIは事務所を救うのか?
- 2024.11.05 ニュース
- 『workforce Biz』に寄稿しました【年次有給休暇の付与や取得等に関する基本的なルールと留意点(中編)】
- 2024.10.31 これまでの情報配信メール
- 賃金のデジタル払い、令和7年3月31日高年齢者雇用確保措置における経過措置期間の終了について
- 2024.10.30 大野事務所コラム
- 通勤災害における通勤とは③
- 2024.10.23 大野事務所コラム
- 在籍出向者を受け入れる際の労働条件の明示は出向元・出向先のいずれが行うのか?
- 2024.10.23 ニュース
- 『月刊不動産』に寄稿しました【職場や外出先への移動時間は労働時間に該当するか】
- 2024.10.23 これまでの情報配信メール
- 令和6年年末調整における定額減税に関する事務・簡易な扶養控除等申告書について
- 2024.10.16 大野事務所コラム
- 本当に「かぶ」は抜けるのか―「人と人との関係性」から人事労務を考える㊱
- 2024.10.11 これまでの情報配信メール
- 令和6年版労働経済の分析(労働経済白書)について
- 2024.10.09 大野事務所コラム
- 労働者死傷病報告等の電子申請義務化について
- 2024.10.04 ニュース
- 『workforce Biz』に寄稿しました【年次有給休暇の付与や取得等に関する基本的なルールと留意点(前編)】
- 2024.10.02 これまでの情報配信メール
- 労働者死傷病報告の報告事項改正及び電子申請義務化について
- 2024.10.02 大野事務所コラム
- 女性活躍推進法の改正動向
- 2024.09.26 ニュース
- 『月刊不動産』に寄稿しました【社会保険の適用が拡大されます】
- 2024.09.25 大野事務所コラム
- 社会保険の同月得喪と2以上勤務を考える
- 2024.09.18 大野事務所コラム
- 理想のチーム
- 2024.09.11 大野事務所コラム
- 通勤災害における通勤とは②
- 2024.09.11 これまでの情報配信メール
- 令和6年度地域別最低賃金額の改定状況について・大規模地震の発生に伴う帰宅困難者等対策のガイドラインについて
- 2024.09.04 大野事務所コラム
- フレックスタイム制適用時における年次有給休暇の時間単位取得と子の看護休暇・介護休暇の時間単位取得
- 2024.08.28 大野事務所コラム
- やっぱり損はしたくない!―「人と人との関係性」から人事労務を考える㉟
- 2024.08.31 これまでの情報配信メール
- 「健康保険資格情報のお知らせ及び加入者情報」の送付、マイナンバーカードの健康保険証利用について
- 2024.08.21 これまでの情報配信メール
- 雇用保険基本手当日額および高年齢雇用継続給付等の支給限度額変更・令和7年4月1日以降の高年齢雇用継続給付の段階的縮小について
- 2024.08.21 大野事務所コラム
- ライフプラン手当のDC掛金部分を欠勤控除の計算基礎に含めてよいのか?
- 2024.08.15 ニュース
- 『月刊不動産』に寄稿しました【減給の制裁における労働基準法の制限】
- 2024.08.10 これまでの情報配信メール
- 雇用の分野における障害者の差別禁止・合理的配慮の提供義務に係る相談等実績について等
- 2024.08.07 大野事務所コラム
- 1か月単位の変形労働時間制における時間外労働の清算
- 2024.08.02 ニュース
- 『workforce Biz』に寄稿しました【管理監督者の適正性】
- 2024.07.31 大野事務所コラム
- 健康情報取扱規程の作成は義務⁈②
- 2024.07.24 大野事務所コラム
- ナレッジは共有してこそ価値がある
- 2024.08.01 これまでの情報配信メール
- 2024年 企業の「人材確保・退職代行」に関するアンケート調査 カスタマーハラスメント対策企業マニュアルと事例集
- 2024.07.19 これまでの情報配信メール
- 仕事と介護の両立支援に向けた経営者向けガイドライン
- 2024.07.17 大野事務所コラム
- 通勤災害における通勤とは①